日本透析医学会雑誌
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症例報告
右内頸静脈flexible double-lumen catheter (FDLカテーテル) 留置により脳静脈血栓症を発症した肝内胆管癌合併CKD急性増悪の1例
茂庭 仁人嶋村 昌之介長谷川 浩一滝沢 英毅佐々木 晴樹横山 由佳浅岡 克行浦 信行
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2015 年 48 巻 3 号 p. 187-192

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抄録
症例は72歳男性. 腎硬化症によるCKDにて近医を通院していた. 胆管癌に対し消化器内科で化学療法を開始したところ食欲不振と倦怠感が出現, 翌月再診した. Cr 9.63mg/dL, K 7.3mEq/Lと腎不全増悪, 高カリウム血症, 徐脈を認め入院となった. 右内頸静脈にflexible double-lumen catheter (FDLカテーテル) を挿入し血液透析を開始した. 脳転移検索目的に頭部CTを施行したところ右後頭葉に高吸収域像を認め, MR venographyにて右横静脈血栓症と診断した. FDLカテーテルを抜去し抗凝固療法を開始, この時点で腎機能はやや回復しており透析は離脱した. その後化学療法を再開したが腎機能の増悪なく透析の再導入はせず外来経過観察としている. 担癌患者など易血栓性状態にある患者では内頸静脈FDLカテーテル留置の合併症として脳静脈血栓症を念頭におく必要がある.
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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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