日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析患者に生じた腎周囲血腫8例の特徴
元 志宏井上 勉佐々木 峻也野辺 香奈子斎藤 加奈子岡山 美香瀬戸 建池田 直史鈴木 洋通
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2015 年 48 巻 3 号 p. 193-198

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抄録
腎周囲血腫は外傷, 腫瘍, 感染などで生じるまれな疾患である. 抗血小板薬や抗凝固薬などにより腎周囲血腫をきたした症例や透析患者に発症した症例も散見される. 透析患者の腎周囲血腫の原因では多嚢胞化萎縮腎が重要な因子であり, 今回われわれが経験した8症例すべてに認めた. そのうち5例は結石, 腫瘍病変や外傷の既往なく, 多嚢胞化萎縮腎の破裂が原因と考えられた. 腹膜透析患者に生じた腎周囲血腫6例はすべて腹膜透析排液が血性となり, 腹膜透析患者が血性排液を呈した際は腎周囲血腫を鑑別にあげる必要があると考えられた. 長期透析患者の増加により多嚢胞化萎縮腎を合併し腎周囲血腫を発症する症例は今後増加すると考えられる. 透析患者が突然の腰背部痛を訴えた場合や腹膜透析患者に血性排液を認めた場合は, 腎周囲血腫も念頭に置いて精査を行い, 貧血の進行や全身状態, 腎癌の合併などを考慮し治療方針を決定する必要がある.
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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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