抄録
症例は59歳女性. 平成22年, 原疾患不明の慢性腎不全に対し血液透析導入. 平成26年初めから皮膚掻痒の増悪を認め, 同年5月には体幹四肢に広範に滲出性の紅斑を認め, 手掌・大腿内側には水疱も認めることから精査加療目的に6月初めに入院予定であった. 入院直前にシャント閉塞を認め前医にて治療後当院転院. 皮膚生検所見および抗BP180抗体高値から水疱性類天疱瘡の診断で経口プレドニゾロン (PSL) による治療を開始した. 入院当初はカテーテルを使っての血液透析を継続するも, カテーテル感染のため抜去. 皮膚所見の改善に伴い穿刺可能範囲の拡大もあり, 入院後5回目の血液透析からシャントを使っての血液透析に移行した. 経過良好につき6月末退院. 維持透析患者の水疱性類天疱瘡発症の報告は少なく, 文献的考察を含め報告する.