日本透析医学会雑誌
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49 巻 , 1 号
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  • 政金 生人, 中井 滋, 尾形 聡, 木全 直樹, 花房 規男, 濱野 高行, 若井 建志, 和田 篤志, 新田 孝作
    2016 年 49 巻 1 号 p. 1-34
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    2014年末の統計調査は全国の4,367施設を対象に実施され, 4,330施設 (99.2%) から回答を得た. 2014年1年間の年間導入患者数は38,327人であった. 年間導入患者数は2008年以降大きな変動なく推移している. 2014年1年間に死亡した患者は30,707人であった. 透析人口は依然増加し続け, 2014年末の透析人口は320,448人に達した. 人口百万人あたりの患者数は2,517人である. 2014年の年間粗死亡率は9.6%であった. 透析導入患者の平均年齢は69.04歳, 透析人口全体の平均年齢は67.54歳であった. 年間導入患者の腎不全原疾患では糖尿病性腎症が最も多かった (43.5%). 糖尿病性腎症による年間導入数は横ばいで推移している. 透析人口全体で最も多い腎不全原疾患は糖尿病性腎症であり (38.1%), 次いで慢性糸球体腎炎であった (31.3%). 糖尿病性腎症は増加しているが, 慢性糸球体腎炎は減少している. 2012年以降血液透析濾過 (HDF) 患者は急増しており2014年末には43,283人に達した. これは2012年末と比較して約2倍の増加である. 特にon-line HDFはこの3年間で2.5倍以上に増加した. 施設調査結果によれば腹膜透析 (PD) 患者数は9,255人であり, 1,913人がPDとともに血液透析 (HD) やHDFなど体外循環を使用した透析療法を併用していた. 2014年末の在宅HD患者は529人であり, 2013年末の461人からさらに増加した.
  • 政金 生人, 長谷川 毅, 尾形 聡, 木全 直樹, 中井 滋, 花房 規男, 濱野 高行, 若井 建志, 和田 篤志, 新田 孝作
    2016 年 49 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    2009年より日本透析医学会統計調査委員会の年末全国調査の一環として日本腹膜透析医学会の協力のもと「腹膜透析 (PD) レジストリ」が開始されている. 今回2014年末に行われた調査結果からPD患者の現状を報告する. 対象は2014年末全国調査で報告されたわが国のPD患者. 血液 (濾過) 透析 (HD (F)) 等との併用状況, 透析液交換方法, 自動腹膜透析装置 (APD) 使用状況, 腹膜炎および出口部感染発症率などについて記述的解析を行った. 2014年末の施設調査では, PD患者数は9,255名で2013年末と比較し137名減少し, 全透析患者に占める割合も2.9%と0.1%減少した. 腹膜カテーテルを残している洗浄患者は278名, 新規PD導入するも2014年内に脱落した患者193名, HD (F) 等とPDを併用している患者1,913名であった. HD (F) 等併用療法の割合はPD歴1年未満で3.3%, 1~2年未満で10.1%, 2~4年未満で16.3%, 4~6年未満で26.9%, 6~8年未満で40.9%, 8~10年未満で53.5%, 10年以上で58.7%とPD歴が長くなるにつれて高くなっていた. 透析液交換方法に関しては完全手動交換のみを行うPD患者は32.2%, 紫外線もしくは熱式無菌接合装置によるバッグ交換デバイスを用いているPD患者はそれぞれ52.6%, 13.7%であった. 腹膜炎発症率は平均0.21回/1患者・年 (1回/57.1患者・月) であった. 出口部感染発症率は平均0.40回/1患者・年 (1回/30.0患者・月) であった.
原著
  • 目叶 裕史, 江口 直人, 加藤 たつ郎, 中村 中
    2016 年 49 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    血液透析の分野は生命予後の改善や生活の質 (quality of life : QOL) の向上のため, 浄化法や管理方法の検討がされており, 当院では内部濾過を踏まえた透析量増大を考え, 現在350mL/min以上の高血液流量で治療を行っている. 日常的な制限を極力設けない高血液流量透析のQOLを含む生命予後への影響について当院のデータと日本透析医学会やほかの研究データと比較した. 高血液流量透析は透析効率や透析量, 栄養指標, QOL評価が高い傾向にあり, 粗死亡率は5.2%と十分に低く, 透析歴20年以上の長期透析患者は21.9%と高い割合を占めた. 高い血液流量により内部濾過が増えれば予後不良因子を多く除去できる大きな透析量が得られ, その大きな透析量が食事制限を必要としない栄養状態の良好な生活が維持できてQOLの向上に貢献していると考える. 高血液流量透析は生命予後の改善, QOLの向上のため重要な基本条件である.
  • 土井 悦子, 諏訪部 達也, 乳原 善文, 長田 真紀, 小林 真紀子, 山本 恭子, 高市 憲明, 今 寿賀子
    2016 年 49 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    透析患者の長期生存に重要な要因を検討することを目的とし, 当院の透析期間21年以上の長期透析患者25名 (男性14, 女性11) の栄養評価指標について, 透析期間20年以下の患者83名 (男性58, 女性25) と比較するとともに, その経年変化をカルテより後方視的に調査した. また, 長期透析患者の現在の食事摂取量を評価した. 血清アルブミン, %クレアチニン産生速度, 体脂肪・骨格筋割合, 血清尿素窒素, 標準化蛋白異化率, 血清リン, 血清カリウムについては, 長期透析患者と透析期間20年以下の患者と差がなかった. 長期透析患者のBody Mass Index (BMI) は20.1 [17.7~21.7] kg/m2で, やせ (BMI<18.5kg/m2) の患者が40%を占めたが, 過去20年間一定に保たれていた. 体内筋肉量は過去20年間で低下したものの, 現在の食事摂取量は「慢性腎臓病の食事療法基準2014年版」に概ね相応していた. 血液透析導入後の長期生存には, BMIを一定に保ち栄養状態を悪化させないことが重要と考えられた.
症例報告
  • 石黒 裕章, 国保 敏晴, 海老原 正行, 井上 典子, 岡田 和也, 小林 雄祐, 髙瀬 奈緒, 戸谷 義幸, 梅村 敏
    2016 年 49 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性. 平成22年, 原疾患不明の慢性腎不全に対し血液透析導入. 平成26年初めから皮膚掻痒の増悪を認め, 同年5月には体幹四肢に広範に滲出性の紅斑を認め, 手掌・大腿内側には水疱も認めることから精査加療目的に6月初めに入院予定であった. 入院直前にシャント閉塞を認め前医にて治療後当院転院. 皮膚生検所見および抗BP180抗体高値から水疱性類天疱瘡の診断で経口プレドニゾロン (PSL) による治療を開始した. 入院当初はカテーテルを使っての血液透析を継続するも, カテーテル感染のため抜去. 皮膚所見の改善に伴い穿刺可能範囲の拡大もあり, 入院後5回目の血液透析からシャントを使っての血液透析に移行した. 経過良好につき6月末退院. 維持透析患者の水疱性類天疱瘡発症の報告は少なく, 文献的考察を含め報告する.
  • 増田 俊樹, 坂井 智行, 山田 伸一郎
    2016 年 49 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 女性. 糖尿病性腎症を原病とし, 73歳時に血液透析を導入された. 76歳頃より無尿であった. 糖尿病性神経障害による下肢壊疽のため, 両側下腿切断術を受け入院加療中であった. 術後に血尿, 下腹部痛および透析中の著明な血圧低下を認めたため精査したところ, 腹部造影CTにて膀胱壁の肥厚および膀胱粘膜下のガス貯留像を認め, 気腫性膀胱炎と診断した. 発症時の尿からはEscherichia coliが培養されたが, 血液からはBacteroides fragilisが培養され, 両者を起因菌とした気腫性膀胱炎から敗血症をきたしたと考えた. 抗生剤投与, 膀胱ドレナージを実施し, 速やかに軽快した. とくに無尿の維持血液透析患者において, 気腫性膀胱炎の報告は少ないが, 発症が認識されないまま経験的抗生剤投与にて軽快している可能性がある. 気腫性膀胱炎の大部分は適切な抗生剤投与と排尿管理で軽快するが, 治療開始の遅れから重篤な経過に至ることがあり, 早期に診断し治療を行うことが重要である.
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