日本透析医学会雑誌
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症例報告
胃酸分泌抑制薬内服下にて胃もたれ, 食欲不振を認めた血液透析患者に六君子湯が著効した2症例
山﨑 麻由子木村 容子佐藤 弘許田 瑞樹神山 貴弘能木場 宏彦雨宮 伸幸杉浦 秀和荒川 洋細川 俊彦岩谷 周一伊藤 隆
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2016 年 49 巻 10 号 p. 677-682

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抄録

胃もたれ, むかつきなどの上部消化管症状を伴う体重維持の困難な血液透析患者に六君子湯を投与したところ上部消化管症状, 食欲が改善しドライウエイト (DW) が増加した2症例を経験した. 症例1 : 79歳男性. 5か月前より胃もたれ, 食欲不振が出現しDW減量が必要であった. 胃酸分泌抑制薬内服にても症状は持続していた. 六君子湯の投与にて胃もたれや食欲は徐々に改善し1年間でDWは約7kg増加した. 症例2 : 54歳女性. 透析導入前は毎年夏に胃もたれ, むかつきを伴う食思不振が生じ体重が約3kg減少した. 透析導入後DWは27kgと低体重で胃酸分泌抑制薬を内服するも胃もたれを訴えた. 六君子湯の投与にて胃もたれやむかつきのほか, 食欲も改善した. 夏場の体重減少も消失しDWは2年間で約5kg増加した. 血液透析患者の上部消化管症状, 食欲不振を伴う体重減少に対して六君子湯は有用な治療であると考えられる.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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