日本透析医学会雑誌
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症例報告
血液透析導入期に非典型的なヘパリン起因性血小板減少症を発症し, 腹膜透析導入を余儀なくされた1例
中村 裕紀佐藤 俊夫穴山 万理子牧野 靖田村 克彦長澤 正樹
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キーワード: HIT, 腹膜透析, ヘパリン
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2016 年 49 巻 5 号 p. 363-367

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抄録
89歳女性. 201X年12月, 急性腎盂腎炎, 敗血症性ショックのため当院紹介. 同日より心房細動の合併に対しヘパリンを開始. 腎不全急性増悪のため右大腿静脈に透析用カテーテルを留置し翌日から血液透析を開始した. 第3病日, カテーテル脱血不良のため右内頸静脈に再留置. 第4病日, カテーテル閉塞. 第11病日, 下肢血栓症のため下大静脈フィルターを留置. 血小板は13.4万/μLから6.1万/μLへ低下した. 経過よりⅡ型ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) を疑い, ヘパリンを中止しアルガトロバンを開始した. しかし, バスキュラーアクセスの確保が困難となり, 第25病日, 腹膜透析へ移行した. 抗血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体は1.3U/mLで陽性. ヘパリン開始後4日以内の血栓傾向や血小板減少は, 非典型的であり, 急速発症型または特発性の可能性について検討する必要がある.
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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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