抄録
本邦社会の高齢化とともに, 透析医療に携わるスタッフの負担は増加する傾向にある. また赤血球造血刺激因子製剤 (ESA) が透析技術料に包括化された現在, ESA節減も重要な課題となっている. 今回, われわれは透析患者26名においてDAから, より廉価であるEPOκへの切り替えを行い, 投与頻度の増加 (月2回から最大週3回) によるストレスの変化や事故件数, 経済効果, さらにDAとEPOκ使用時のHbおよび鉄代謝の差異を調査した. 切り替え前後で「職業性ストレス簡易調査票」を用いて評価したところ, 仕事の量と仕事の質などにおいてスタッフのストレスは増しておらず, 一方月額のESA費は46.3%と大幅に削減可能であった. Hbおよび鉄代謝は縦断研究において同等であった. しかし, 長時間作用型ESAと短時間作用型ESAの生命予後についてのエビデンスは現在のところ存在せず, 今後のESAの選択は非常に慎重を要すると思われた.