日本透析医学会雑誌
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原著
クエン酸第二鉄水和物投与による炎症マーカー, 酸化ストレス関連マーカーへの影響と貧血改善効果について
原 正樹中村 裕也鈴木 博貴西田 和正大澤 勲稲垣 昌博長谷川 仁美小口 勝司後藤 善和後藤 博道
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2016 年 49 巻 7 号 p. 503-510

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抄録

クエン酸第二鉄水和物 (FCH) 投与に伴う炎症, 酸化ストレスマーカーの変化, 貧血改善効果の指標に血清ヘプシジン-25 (HEP) を用いてその有用性を検討した, 12週間の前向き研究. FCHを1,500mg/日投与したFCH群10例とFCH以外のリン吸着薬群 (対照群) 10例の, 血清リン, Hb, 鉄関連マーカー, ESA製剤投与量, ERI, 炎症マーカー, 酸化ストレスマーカー, HEPの検討を行った. FCH投与前後でHEP変動が10%未満もしくは減少した患者を「HEP不変群」, それ以外を「HEP増加群」と定義した. FCH投与12週後には, 対照群と異なり血清フェリチンの有意な上昇, ESA製剤投与量およびERIの有意な低下を認めた. 炎症, 酸化ストレスマーカーは両群ともに有意な変化を認めなかった. HEP不変群では, HEP増加群に比して有意なHbの上昇を認めた (2.2±0.4 vs. −0.6±1.4g/dL : p=0.0105). FCH投与による炎症および酸化ストレスマーカーへの影響はなく, FCH投与に伴うHb上昇の予測にHEPが有用である可能性が示唆された.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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