日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
原著
Protein-energy wastingおよび炎症のない維持血液透析患者の肥満は死亡リスクを上昇させる
酒井 友哉永井 徹鈴木 恵梨子土屋 麻衣子鈴木 美帆清野 由美子中嶌 美佳政金 生人
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 51 巻 3 号 p. 211-217

詳細
抄録

血液透析患者において, BMIが高いほど死亡リスクが低くなるreverse epidemiologyが広く知られているが, これには栄養障害, 炎症が交絡因子として作用している可能性がある. そこで, 日本人血液透析患者のBMIと死亡率の関連性は栄養障害および炎症の影響を受けるか検討した. 血液透析患者259人と, 栄養障害, 炎症ありと判断した92人を除外した167人を対象に, BMI別の死亡リスクを検討した. BMI 22.0~25.0kg/m2を対照とすると, 全対象者では, BMI 25.0kg/m2以上で有意な死亡リスクの低下は認められず, 栄養障害, 炎症のない対象者では, BMI 25.0kg/m2以上で有意に死亡リスクが上昇した (HR 7.85 [1.77-56.27]). われわれの検討では, 日本人血液透析患者の肥満は死亡リスクの低下を認めることはなく, 栄養障害および炎症のない場合に限り死亡の危険因子であった. 人種差だけでなく, 栄養障害および炎症がBMIと死亡率との関連の重要な交絡因子であることが示唆された.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top