2018 年 51 巻 3 号 p. 203-209
本研究の目的は, 透析関連低血圧 (IDH) の指標としての推定最高酸素摂取量 (peak VO2), 心拍数減衰応答 (HRR) の有用性を明らかにすることである. 対象は運動負荷試験を実施した透析患者216名とした. 非IDH群に比しIDH群のpeak VO2, HRRは有意に低値を示した (p<0.001). 血清アルブミン, 心機能, 動脈硬化指標で調整後もpeak VO2 (OR 0.80, 95%CI 0.70-0.91, p=0.001), HRR (OR 0.91, 95%CI 0.85-0.98, p=0.009) はIDHと関連を示し, カットオフ値はpeak VO2 13.8mL/kg/min (感度0.86, 特異度0.69, p<0.001), HRR 7拍 (感度0.80, 特異度0.62, p<0.001) であった. peak VO2, HRRはIDHの独立したリスク因子であり, カットオフ値における予測精度も高く, 指標としての有用性が示された.