日本透析医学会雑誌
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原著
自己血管内シャントに対するシャント血管マッサージの有用性に関する検討
吉川 友恵増田 貴博菅生 太朗小林 玲子松岡 諒山田 恵子笠野 佳代子齋藤 修長田 太助
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2018 年 51 巻 5 号 p. 305-311

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抄録

血液透析患者へのシャント血管マッサージ (マッサージ) は, 自己血管内シャントの長期保持目的などに用いられているが, 長期効果を検討した報告はない. 本研究は, シャント狭窄が疑われた透析患者9名に, 透析前に看護師によるマッサージを最長10か月施行し, エコーでシャント機能を評価した. 狭窄音を聴取した5名中4名はマッサージ後8週間までに狭窄音が消失した. 上腕動脈のシャント血流量は782±27mL/minから800±29mL/minに, 血管抵抗指数 (RI) は0.520±0.007から0.512±0.008に改善した. 経時的には3か月目のマッサージ直後の血流量・RIは, 開始時 (0か月) と同等であった. シャントへの経皮的血管形成術歴のある患者3名では, 施行間隔が147±40日から269±59日に延長した. 以上より, シャント血管マッサージは, 狭窄音改善およびシャント機能保持, 開存期間延長に有用である可能性がある.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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