日本透析医学会雑誌
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症例報告
長期間の抗菌薬投与により改善した長期血液透析患者における腎囊胞感染の2例
小野 澄比佐松岡 直也宮本 敢右永冶 紘平浅井 奈央吉野 雅文伊藤 恭彦今井 裕一
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2018 年 51 巻 5 号 p. 331-337

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抄録

症例1 : 72歳男性, 透析歴25年. 発熱, CRP高値で来院しpositron-emission tomography with fluorodeoxyglucose (FDG-PET) 施行により右多発腎囊胞感染と診断, メロペネム (MEPM), レボフロキサシン (LVFX), ゲンタマイシン (GM) 等の計41週の抗菌薬投与で改善した. 症例2 : 68歳女性, 透析歴32年. 発熱, 意識障害で入院. 造影CT, 単純MRI施行し径60mmの左腎囊胞感染と診断. 血液培養でKlebsiella pneumoniaeを検出. LVFX, MEPM, セフトリアキソン (CTRX) 等抗菌薬を31週継続し改善した. 透析患者の腎囊胞感染は治療困難例が多く, 死亡率も高く予後不良といわれている. 今回長期血液透析患者の後天性腎囊胞における腎囊胞感染で, 外科的治療を行うことなく長期抗菌薬投与を行うことで治療しえた2例を経験した. MRI, FDG-PETが診断に有用であり, 外科的治療なしでの腎囊胞感染では炎症所見の陰性化までを指標として約7~10か月と長期間の抗菌薬投与継続が有用であった.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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