2018 年 51 巻 5 号 p. 321-329
慢性糸球体腎炎, 糖尿病性腎症, 腎硬化症, その他の疾患による透析症例 (それぞれCGN透析, DM透析, NS透析, その他) の患者数推移を予測した. 男女別に5歳年齢階級別, 疾患別の透析導入率, 死亡率を日本透析医学会の 「わが国の慢性透析療法の現況」 のデータより算出した. 将来推計総人口は平成29年推計を用いた. 2015年末の患者数を初期値に人口分布に応じて, 各年齢階級の一部が翌年に次の年齢階級に移行すると仮定し, 導入数, 死亡数を補正した. 総透析患者数は2017年に2015末より0.2%とわずかに増加, 65歳以上は2019年に3%増加し, 以後減少した. CGN透析は直線的に減少した. DM透析は2027年に8%増加し以後減少した. NS透析は2034年に34%増加し以後減少した. 将来人口は推計値であり, 導入率, 死亡率の設定にも限界があるが, 今後10年はCGN透析の減少とDM透析・NS透析の増加が特徴的といえる.