日本透析医学会雑誌
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症例報告
メトホルミン内服による乳酸アシドーシスに対し緊急透析にて救命しえた1例
三浦 玲梶原 健吾八木 喜崇坂本 和香奈芹川 亜実西山 景子吉井 隆一西口 佳彦山本 紗友梨中村 朋文梶原 奈央藤本 歌織尾上 友朗富田 正郎向山 政志
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2018 年 51 巻 6 号 p. 395-399

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抄録

本邦における2型糖尿病患者数は増加の一途をたどっている. メトホルミンの単独療法では低血糖のリスクは低く, 他の血糖降下薬にて懸念される体重増加も少ないうえに, インスリン抵抗性の改善を期待でき心血管保護作用もあいまって, その適応は増加している. メトホルミンの極めて稀な副作用として乳酸アシドーシスがあるが, 致死率が非常に高く迅速な対応を必要とする. 今回, われわれは53歳の患者におけるメトホルミンを原因とした重症乳酸アシドーシスに対し, 点滴加療を施行するも改善不十分であり, 血液透析にて救命することができた1例を経験したため報告する. 乳酸アシドーシスは発症すると重篤であるため, ハイリスク患者ではあらかじめ投与を避けることや, 脱水, シックデイ, 過度のアルコール摂取など患者への注意指導を行うことで発症自体を予防することが重要だが, 発症した場合は遅滞なく透析を含む積極的治療介入を検討する必要がある.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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