日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析導入時の腎性貧血に対し宗教的理由で輸血拒否した1例
本城 保菜美竹口 文博加藤 美帆林野 翔長島 敦子櫻井 進渡邊 カンナ宮岡 良卓長岡 由女菅野 義彦
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2018 年 51 巻 6 号 p. 409-413

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抄録

症例は61歳女性. 2型糖尿病およびそれに伴う慢性腎臓病のため通院していたが, 7か月前の最終外来以降, 治療を自己中断していた. 労作時呼吸困難, 食欲低下が出現し, 緊急入院時にはHb 6.0g/dLと高度貧血を伴う末期腎不全の状態だった. 本人のみ宗教上の理由により輸血を拒否していたが, 夫を含めて話し合いをした結果, 相対的無輸血治療に同意したため緊急透析導入した. 貧血に対して赤血球造血刺激因子 (ESA) 製剤であるダルベエポチンαの増量, 鉄補充療法を中心とした治療で管理可能であった. 血液透析患者の導入期にはESA抵抗性因子が多数存在するが, 緊急を要しない貧血であれば適切な治療により無輸血で管理可能であることが示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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