日本透析医学会雑誌
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原著
シナカルセト塩酸塩からエボカルセトへの処方変更―維持血液透析患者147人の一斉切り替え―
伊藤 恭子高橋 愛里斎藤 たか子宮 政明溜井 紀子武藤 重明安藤 哲郎筒井 貴朗小川 哲也永野 伸郎
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2019 年 52 巻 10 号 p. 585-592

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抄録

【目的】シナカルセトをエボカルセトへ切り替え, 血清値, 併用薬剤, 上部消化管 (GI) 症状に対する影響を実臨床下で検討した. 【方法】シナカルセト処方中の血液透析患者147人を, エボカルセトの1mgに一斉に切り替え, 8か月後まで観察した. また, GI症状および服薬アドヒアランスに関するアンケートを実施した. 【結果】切り替えにより, 血清PTHの上昇が認められたが, 血清補正Caの上昇は一過性であり, 速やかに投与前値に復した. 直前のシナカルセト投与量と1か月後のPTHおよびCaの変化量との間に正相関が認められた. また, PTH変化量はCa変化量と正相関し, Caの上昇は骨由来であることが示唆された. 併用薬剤の有意な変化は認められなかったが, 消化管運動改善薬を中止できる症例が散見された. アンケートの結果, GI症状のある患者は切り替え後で減少し, 服薬遵守率は上昇した. 【結語】エボカルセトは, シナカルセトに替わる有用なカルシミメティクスである.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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