日本透析医学会雑誌
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原著
表在化上腕尺側皮静脈 (TBV) 使用による各種動静脈瘻 (AVF) についての検討
葛原 敬八郎葛原 信三井上 英行木村 和生大坪 茂三浦 康子
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2019 年 52 巻 3 号 p. 167-176

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抄録

透析療法の進歩は, 高度動脈硬化症例, 難治vascular access trouble (VAT) 例とともに二次的な動静脈瘻 (arteriovenous fistula: AVF) 再建例を増加させた. 今回, 二次的AVF法再評価のため, 表在化上腕尺側皮静脈 (transposed basilic vein: TBV) と上腕動脈のAVF例 (Ⅰ群), TBVと橈骨動脈/尺骨動脈・既存前腕アクセスのAVF例 (Ⅱ群) を, 動静脈吻合部位とアクセス開存率・VAT頻度から比較した. 対象はアクセス喪失確認例と3か月以上観察151例 (Ⅰ群96例, Ⅱ群55例) で, 平均37月観察した. Ⅰ群の一次開存率1年40%, 2年24.7%, 二次開存率1年91.7%, 2年85.2%, Ⅱ群の一次開存率1年39.5%, 2年28.5%, 二次開存率1年92.4%, 2年87.1%であった. 初回percutaneous transluminal angioplasty (PTA) を初回VATと捉えた, VAT頻度はⅠ群86.5%, Ⅱ群83.6%と高率だが, Ⅰ, Ⅱ群の開存率, VAT頻度に差はない. 両群5年二次開存率はPTA効果もあり, 80%前後に維持された.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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