日本透析医学会雑誌
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症例報告
酢酸亜鉛投与中に低銅性血液学的異常を呈した維持透析中の3例
宮崎 良一宮城 恭子川村 里佳
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2019 年 52 巻 3 号 p. 177-184

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抄録

血液透析患者では低亜鉛血症の頻度が多く, 一部の症例でESA低反応性貧血の1因となっている. 2017年3月に本邦で初めて低銅血症に適応を有した酢酸亜鉛が発売された. 今回ESA低反応性貧血を有する維持血液透析患者3例に酢酸亜鉛100mg/日を投与した. 投与後4~7か月後に血清銅濃度が0~3μg/dLと著明な低値をきたし, 汎血球減少症などの低銅血症性血液障害を呈した. 3例とも酢酸亜鉛を中止しESAを増量した. また2例では輸血を行い, 純ココア10g/日の内服を行い3例とも血液障害は改善した. 提示症例以外の低亜鉛血症を有する維持血液透析患者22例に酢酸亜鉛を投与し, 血清銅濃度は投与前78.2±15.4μg/dLから6か月後60.6±18.6μg/dLまで低下したが, 投与中酢酸亜鉛量を必要に応じ減量したため全例血液障害は認めなかった. 維持血液透析患者に酢酸亜鉛投与時は定期的な血清銅濃度の検査を行い, その投与量を調節する必要があると考察した.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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