2019 年 52 巻 8 号 p. 477-483
透析患者の疲労は生命の質 (QOL) の低下を招くばかりではなく種々の疾患の予兆, 特に心血管障害発症の強い危険因子であるといわれている. 今回, 2施設の通院血液透析患者287名を対象に疲労感についての共同調査研究を行った. 本研究では透析患者の透析日の疲労は非透析日に比し有意に高く, 透析間体重増加量が多い (Δ%BW>8.0%) 場合疲労感が強かった. 疲労感は年齢よりも透析歴に相関し, 栄養状態の指標である血清Alb値が低い患者ほど透析日, 非透析日ともに疲労感が強く負の相関を示した. また, 毎日30分以上歩行している患者は疲労感が低いことが示された. 以上より, 透析患者のQOLを維持・向上させるには合併症治療とともに, 栄養状態の維持改善と日常の中での活動能力の向上を推し進めていく支援の重要性が確認された.