日本透析医学会雑誌
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症例報告
アプリンジンにより構音障害を呈した高齢透析患者の1例
山口 靖子山中 法子仁科 裕史板橋 美津世武井 卓
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2019 年 52 巻 8 号 p. 485-489

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抄録

67歳, 男性. 痛風腎による慢性腎不全のため32歳時に維持透析を開始した. 当院入院1か月前, 発作性心房細動を契機にうっ血性心不全を発症した. 除水に加えてジゴキシン0.125mg/隔日, アプリンジン40mg/日を投与開始し, 心不全症状は改善した. 投与2週間後に幻視, 四肢のミオクローヌス, 意識障害 (GCSE4V4M6), 構音障害も生じ, 当院に転院した. ジゴキシン血中濃度2.3ng/mLと上昇し, 第2病日より中止しミオクローヌスは第12病日に, 意識障害は徐々に改善したが, 構音障害が持続した. 第33病日にアプリンジン血中濃度3.02 (治療域0.25-1.25) μg/mLと上昇しており, 30mgに減量し, 第40病日に構音障害も改善した. アプリンジンは症例によっては血中濃度上昇をきたすことがある. 血中濃度が適正範囲でも副作用を生じることがあり, 慎重な投与が必要である.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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