日本透析医学会雑誌
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症例報告
心房細動と睡眠時無呼吸症候群の関与が考えられた低酸素性肝炎の血液透析2症例
東 桂史福島 辰朗西山 純一郎
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2020 年 53 巻 11 号 p. 559-565

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抄録

症例1は70歳代男性. 外来透析中に傾眠傾向とチェーンストークス呼吸を認め入院. 入院時, AST 6,916U/L, ALT 3,756U/Lと著明な肝障害を認めた. ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎の可能性を念頭に精査を行ったが異常所見を認めず, 肝障害は約2週間の経過で正常化した. 併存症として慢性心房細動, うっ血性心不全, 睡眠時無呼吸症候群 (sleep apnea syndrome: SAS) を認め, これらに起因した低酸素性肝炎 (hypoxic hepatitis: HH) と診断した. 症例2は70歳代男性. 発熱, 呼吸困難で夜間救急搬送となり, 気管支肺炎の診断で入院. 入院時の検査では肝障害はみられなかったが, 翌朝の血液検査にて高度の肝逸脱酵素上昇を認めた. ウイルス性肝炎や肝臓の占拠性病変など検査したが異常所見はなく, 肝障害は約2週間の経過で正常化した. 併存症として発作性心房細動, 心不全およびSASを認めた. 心房細動を伴う心不全に加えSASによる低酸素状態が発症に寄与した可能性があるHHの血液透析2症例を経験したので報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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