日本透析医学会雑誌
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症例報告
COVID-19を発症した糖尿病合併高齢維持透析患者の1例
内藤 正吉川村 沙由美和田 達彦山崎 拓也宮坂 竜馬佐野 景子榊原 麻友子高橋 遼永岡 未来青山 東五佐野 隆高山 陽子竹内 康雄
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2020 年 53 巻 11 号 p. 567-572

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抄録

症例は85歳, 女性. 9年前に糖尿病性腎症のため血液透析導入. 2日前より傾眠傾向となり, 1日前に他院に入院. その際, 発熱・SpO2低下はなく, CRP高値・胸部CT所見・SARS-CoV-2 PCR陽性のため, COVID-19の診断で当院に転院となった. 入院翌日より維持透析 (週3回1回3時間, 抗凝固薬 : ナファモスタット)・レボフロキサシンの透析後投与を開始. 第3病日には傾眠傾向が改善した. 第5病日よりロピナビル・リトナビル (LPV/r) 配合錠の透析後内服を開始し, 炎症反応, 画像所見ともに改善した. 本例の特徴として, 1) 糖尿病・認知症を有する高齢者, 2) 細菌性肺炎合併, 3) LPV/rを用いたCOVID-19治療で改善, といった点があげられる. 透析患者のCOVID-19感染症は予後不良なことが知られており, 今後のCOVID-19患者の治療の一助となることから報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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