2020 年 53 巻 3 号 p. 133-138
オゾン水によるシャント肢洗浄効果を検討する. 血液透析 (HD) 患者17例を対象. ① オゾン水, ② 逆性石鹸, ③ アルコール綿洗浄を各々HD開始前に施行し, ATP+ADP+AMP値を用いてHD経過中の清浄度の推移を検討したクロスオーバー研究. 洗浄後のシャント肢荒れに関するアンケート調査も行った (5段階評価, 1: 荒れ無, 5: ひどい荒れ有). ①, ②, ③ におけるATP+ADP+AMP値は, 洗浄前2,816 RLU, 2,140 RLU, 2,924 RLUからHD終了時515 RLU, 306 RLU, 431 RLUへ各々有意に低下しており (p=0.0354, p=0.0414, p=0.0113), いずれも手指衛生の管理基準値 (2,000 RLU) 以下で推移していた. シャント肢荒れの程度のスコアとしては, ① 1.06±0.24, ② 1.24±0.44, ③ 1.41±0.50であり, オゾン水洗浄群はアルコール綿洗浄群と比較して有意にシャント肢荒れが少なかった (p=0.0411). オゾン水洗浄は, HD経過を通して石鹸洗浄やアルコール綿洗浄と同等の清浄度を有し, スキンケアの観点からも優れた洗浄方法の一つである.