日本透析医学会雑誌
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原著
高齢血液透析患者への高齢者総合的機能評価 (CGA) の有効性
鈴木 志穂吉澤 亮能瀬 ひさ子島津 偉一大和田 滋前波 輝彦
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2020 年 53 巻 5 号 p. 251-258

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抄録

高齢者総合的機能評価 (CGA) は, 高齢者が抱える問題を的確に抽出し, 適切な患者ケア提供が可能となるツールで, 医師をはじめ多職種のスタッフが情報を共有できる. われわれは包括的な評価, 看護・介護, 管理や対策が必要な高齢血液透析 (HD) 患者に, CGAが不可欠と考え, CGAにHD関連項目, 栄養運動能力, 社会環境などの評価を加えた8項目からなるHD-CGAを考案し運用した. その結果, HD-CGA各評価項目ならびに総合平均でも自立, 要支援, 要介護者の順に, 有意な点数低下を認めた. HD-CGAと生命予後との関連性では, HD-CGAが低値な患者ほど生存率が悪化し, 死亡リスクが高くなった. 高齢HD患者は特有な透析合併症を有し, 身体・精神・社会的問題は刻々と変化するため, 適切な現状評価が必要となる. HD-CGAは, 高齢HD患者における問題の早期発見, 解決をはじめ予防や介入のために妥当なツールと確信する.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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