日本透析医学会雑誌
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症例報告
ネフローゼ症候群に伴う急性腎障害が誘発したアマンタジン中毒の1例
東野 誠遠藤 慶太林野 翔堀川 武宏坂井 正弘吉野 かえで北村 浩一鈴木 康浩伊藤 慎介藤谷 茂樹林 晃一鈴木 利彦
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2020 年 53 巻 5 号 p. 271-277

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抄録

アマンタジンは古くよりパーキンソン病の治療薬として使用されているが, 腎排泄性であり腎機能障害時の投薬に注意を要する. 今回, アマンタジン内服中のパーキンソン病患者がネフローゼ症候群を合併し, それに伴い誘発された急性腎障害がアマンタジン中毒症を呈した例を経験した. 血液直接吸着ならびに血液濾過透析を行い, 一時急速な薬剤濃度の低下による悪性症候群を誘発したが, その後, 中毒症状の改善を認めた. 本例は, ネフローゼ症候群に伴う著明な低アルブミン血症 (1.6g/dL) が, 腎前性の急性腎障害を誘発し血中アマンタジン濃度を上昇させたのみならず, 元来60〜70%が蛋白結合しているアマンタジンが, 低アルブミン血症により血中遊離アマンタジン濃度の上昇をもたらし, この影響により, 中毒症の増悪や血液浄化療法に伴う遊離アマンタジンの血中濃度の変動の増幅を誘発することが推察された.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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