水中毒の既往がある統合失調症患者3症例に血液透析を行った. 3例は溢水と低ナトリウム血症の悪化をきたし, 透析導入から1年以内に死亡した. 導入中も多飲を認め, 透析前体重はドライウエイトの10〜30%増加し, 透析前血清Na値は128mEq/L未満となった. 体液量増加による低ナトリウム血症が, 転帰に影響を及ぼしたと考えられた. 水中毒の既往がある統合失調症患者に透析を導入する場合, 多飲に対する有効な抗精神病薬はないうえで水分制限を課す必要があり, 水分制限ができない場合は予後不良になるだろう旨の, 十分な説明と同意を得る必要があると思われた. 体液量増加と低ナトリウム血症の増悪は, 腎機能廃絶による自尿の減少が関与したと思われた. そのため, 透析導入前後に, 自尿保持を目的としたトルバプタンの介入の試みが必要だったかもしれない. また, 低ナトリウム血症に対する透析液補正も考慮する必要があったと思われた.