日本透析医学会雑誌
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原著
静脈壁斜切開法による内シャント動静脈吻合法の有用性に関する臨床的検討
三宅 範明宮本 忠幸篠藤 研司
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2021 年 54 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

【目的】自己血管による内シャント(以下AVF)動静脈吻合の際,機能的側端吻合法(従来法)では吻合部中枢側に屈曲を生じる例を経験する.屈曲防止目的で吻合部静脈壁を血管長軸に対し斜めに切開する方法(静脈斜切開法)を考案したので報告する.【方法】従来法52例,静脈壁斜切開法89例を対象とし一次開存率を比較検討した.【結果】両群間の患者背景に統計学的有意差は認めなかった.従来法群と斜切開法群の1年,3年,5年AVF一次開存率(Kaplan‒Meier法)はそれぞれ73.8% vs. 76.8%,47.5% vs. 68.4%,38.1% vs. 68.4%であり,斜切開群が有意に良好であった(Log‒rank test,p=0.0416).【考察および結論】斜切開法による吻合部屈曲防止がAVF開存率改善に寄与したのではないかと推察する.斜切開法がAVF開存率改善に有用である可能性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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