日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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ISSN-L : 1340-3451
原著
維持血液透析患者の睡眠の特徴
―自記式ピッツバーグ睡眠質問票による主観的睡眠評価とアクチグラフによる客観的睡眠評価による検討―
池 睦美中村 勝小西 健一津畑 豊五十嵐 宏三齋藤 徳子森岡 哲夫島田 久基
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2021 年 54 巻 11 号 p. 561-570

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抄録

【背景】透析患者において睡眠障害の訴えの頻度は高いものの,その実態については十分に解明されていない.【目的・方法】透析患者の睡眠評価のため,維持血液透析患者41名に自記式ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)による主観的評価とアクチグラフによる客観的評価を行った.【結果】PSQIでは,睡眠薬群では全例,睡眠薬なし群でも40%が睡眠障害ありと判定された.アクチグラフでは,入眠障害・中途覚醒の指標が不良で,総睡眠時間が短縮していた.睡眠薬なし群は,睡眠薬群より中途覚醒が多く,これは日中の覚醒困難の訴えと関連していた.【考察】健常人の報告例と比較し,主観では中途覚醒が頻回で,客観には入眠障害を示し中途覚醒も頻回であった.【結論】透析患者の睡眠は不良であり,睡眠薬の服用は中途覚醒に一部奏効しているが,入眠障害は残っている.睡眠薬なし群では入眠障害の訴えが表れにくく,日中覚醒困難を伴う中途覚醒とともに問題となる.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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