2021 年 54 巻 5 号 p. 211-217
外来血液透析患者112名224肢の下肢末梢動脈疾患に対するスクリーニング検査として,SPPとABIの検査精度を検討した.下肢血管造影検査と下肢血管動脈エコーから63肢がPADと診断された.足底部,足背部,第1趾のSPPとABIの検査精度をROC分析により算出した.各部位のカットオフ値は足底部62 mmHg,足背部51 mmHg,第1趾40 mmHg,ABI値は0.92であった.SPPでは第1趾が足底部に比し,PADに対する検査精度が優れABIの検査精度は第1趾と同等であった.PAD 63肢において,算出されたカットオフ値①SPP第1趾40 mmHg未満,②ABI値0.92未満を基準とし,4つのカテゴリーに分類した.基準より①②とも下回る場合が39例,①もしくは②で下回る場合が22例,①②とも上回る場合が2例であった.透析患者のPADのスクリーニング検査はSPPとABIを併用することが推奨される.