日本透析医学会雑誌
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症例報告
コレステロール結晶塞栓症による急激な腎機能増悪および繰り返す小腸穿孔に対してステロイドとLDL吸着療法の併用により3か月以上生存しえた1例
渡邉 崇量内藤 順子岡田 英志大城 夢乃新美 香織吉田 学郎村田 一知朗柚原 利至増田 悠人遠藤 奨岡本 遥三宅 喬人土井 智章長屋 聡一郎吉田 省造牛越 博昭小倉 真治大倉 宏之
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2021 年 54 巻 9 号 p. 471-479

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抄録

症例は70歳男性.6年前に腹部大動脈瘤人工血管置換術,冠動脈形成術,5年前に脳動脈瘤コイル塞栓術の既往がある.今回,食欲不振を主訴に受診し血液検査にて急激な腎機能低下を指摘され当院紹介入院となった.両足底・足趾に紫斑を多数認め,コレステロール結晶塞栓症(CCE)が疑われた.第2病日よりスタチン投与とステロイド投与を開始したが腎機能の改善はみられず,第4病日より血液濾過透析を開始した.その後の皮膚生検と腎生検の結果CCEと確定診断した.第10病日よりLDL吸着療法を開始した.以後腎機能は徐々に回復し第30病日に血液濾過透析を離脱できた.その後小腸穿孔を3回発症し2回の手術を必要としたが,結果的にCCEによる急激な腎機能増悪と繰り返す小腸穿孔に対する外科手術後に,ステロイド投与とLDL吸着療法による積極的脂質降下療法の併用により3か月以上生存することができた稀な1例を経験したため報告する.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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