2021 年 54 巻 9 号 p. 481-488
69歳の男性.X-1年7月に膀胱腫瘍と左腎盂腫瘍傍大動脈リンパ節転移と診断され,膀胱腫瘍切除術と化学療法が施行された.X年5月に左腎盂腫瘍再発と傍大動脈リンパ節腫大を認め,ペムブロリズマブ(Pembro)が開始され,7月12日に2回目の投与を行った.投与開始時,血清クレアチニン(Cr)が1.4 mg/dLであったが,8月3日にはCr: 10.4 mg/dLと急性腎障害(AKI)を認め当科入院となった.入院第1病日には乏尿と代謝性アシドーシス増悪を認め血液透析(HD)を行った.AKIの原因はPembroによる薬剤性と考えた.第7病日からプレドニゾロン(PSL)50 mgを開始し,第21病日にはCrは2.27 mg/dLまで改善した.その後,PSLは漸減中止したが,腎機能増悪は認めていない.今回,PembroによりHDを要するAKIを発症し,副腎皮質ステロイド薬が著効した貴重な症例を経験したため報告する.