2022 年 55 巻 1 号 p. 25-28
症例は867 gで出生した男児,日齢50日に壊死性腸炎を発症,開腹手術を行った.術後から敗血症に陥り,循環動態の維持が困難となった.小児・新生児SIRS基準のうち,①心拍数180回/分を超える頻脈である,②白血球数5,000/μLを下回っている,の2つを満たし,さらに血中のエンドトキシン濃度は2,000 pg/mL以上であり,エンドトキシン吸着(polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion: PMX‒DHP)の適応用基準を満たしていたことから,手術第5病日にPMX‒DHPを施行した.その結果,循環動態の改善および,血中のエンドトキシン濃度の低下といった有効性を確認,明らかな有害事象なく安全に実施できた.超低出生体重児に対するPMX‒DHPの報告は極めて少なく,その施行方法は各施設において工夫がなされている.今回われわれは,「体外循環による新生児急性血液浄化療法ガイドライン」を基に,既存の回路を加工せず,PMX‒DHPを安全に施行した症例を経験したため,若干の文献的考察を含めて報告とする.