日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
症例報告
超低出生体重児に対する標準的体外循環法を用いたエンドトキシン吸着の試み
渡辺 弦輝渡邊 尚岩谷 理恵子平塚 明倫平野 大志山本 泉大城戸 一郎横尾 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 55 巻 1 号 p. 25-28

詳細
抄録

症例は867 gで出生した男児,日齢50日に壊死性腸炎を発症,開腹手術を行った.術後から敗血症に陥り,循環動態の維持が困難となった.小児・新生児SIRS基準のうち,①心拍数180回/分を超える頻脈である,②白血球数5,000/μLを下回っている,の2つを満たし,さらに血中のエンドトキシン濃度は2,000 pg/mL以上であり,エンドトキシン吸着(polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion: PMX‒DHP)の適応用基準を満たしていたことから,手術第5病日にPMX‒DHPを施行した.その結果,循環動態の改善および,血中のエンドトキシン濃度の低下といった有効性を確認,明らかな有害事象なく安全に実施できた.超低出生体重児に対するPMX‒DHPの報告は極めて少なく,その施行方法は各施設において工夫がなされている.今回われわれは,「体外循環による新生児急性血液浄化療法ガイドライン」を基に,既存の回路を加工せず,PMX‒DHPを安全に施行した症例を経験したため,若干の文献的考察を含めて報告とする.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top