日本透析医学会雑誌
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症例報告
アパルタミドによる中毒性表皮壊死症に対し血漿交換を行った1例
小田 豪将田中 文香早川 温子田中 紘也高木 幹郎山際 秋沙
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2022 年 55 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

85歳,男性.前立腺癌に対して抗アンドロゲン剤であるアパルタミドの内服を開始した.内服開始50日後に全身に皮疹が出現し,38℃台の発熱を認め皮膚科に紹介となった.アパルタミドによる中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis: TEN)の診断で入院となり,ステロイド内服での治療を開始した.第27病日ごろより全身の淡いびまん性紅斑の新生を認め,血漿交換療法を計8回施行したところ,皮膚病変の緩やかな改善を認めた.TENは多くの場合薬剤が原因とされ,非常に死亡率の高い疾患である.血漿交換療法については,病状の進行を抑制することから有用とする報告が多くみられる.また,アパルタミドは臨床試験において,とくに日本人に高頻度に皮疹を合併することが知られている.アパルタミドの普及により,本例のような重症型薬疹も今後増加する可能性がある.病因の解明のため,今後の研究が望まれる.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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