日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
短報
ガス分析測定時間遅延がイオン化カルシウム濃度に及ぼす影響
―室温3.5時間放置で乳酸値は上昇し,イオン化カルシウム値は低下する―
王 麗楊谷口 圭子村野 由美子入江 由実寒川 昌平谷野 彰子山田 佐知子桑原 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 55 巻 1 号 p. 49-52

詳細
抄録

【目的】イオン選択性電極(ISE)法での血清イオン化Ca(iCa)の測定は3から4時間以内にすべきとされる.全血ガス分析検査で3時間超の遅延がiCa測定に及ぼす影響を検討した.【方法】血液透析(HD)患者43名に,透析前バランスヘパリンコートシリンジを用い内シャントより全血2 mL採血し,速やかにガス分析検査を行った.検体を常温で3.5時間放置後再びガス分析検査を行った.【結果】3.5時間放置によりpHは7.375から7.304,HCO3は20.20から19.91,Base Excess(BE)は-4.38から-6.1に有意(いずれもp<0.001)に下降し,pCO2は35.39から40.81,Lactateは1.32から3.02と有意(いずれもp<0.001)に上昇,lactic acidosisを呈した.AcidosisにもかかわらずiCaは1.13から1.12(p<0.03),pH補正iCaは1.12から1.08(p<0.001)に低下した.【結論】全血検査の測定時間遅延は,乳酸の増加,pHの低下,pH補正iCa濃度の低下を惹起する.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top