日本透析医学会雑誌
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症例報告
血漿交換を行うも救命しえず剖検に至った血栓性血小板減少性紫斑病の1例
松永 愛子中村 敬志井上 秀樹嶋﨑 明子永芳 友冨永 亜希三浦 玲中川 輝政柿添 豊閌 健博桒原 孝成安達 政隆竹屋 裕斗菰原 義弘江田 幸政向山 政志
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2022 年 55 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は緊急に治療を必要とする致死的疾患である.TTPの診断基準はADAMTS13活性10%未満が必須であるが,結果が判明するまでに時間を要するため,病状によっては結果を待たずに治療を開始する必要がある.今回,後天性TTPに対し速やかに血漿交換を行うも急激な経過をたどり死亡した1例を経験したため報告する.症例は47歳の男性.感冒症状出現から約1週間後にCr 3.37 mg/dLと高度の腎機能低下とともに,血小板減少,破砕赤血球を認めた.TTPを強く疑い,第2病日に血漿交換を施行するも意識障害が出現,ステロイドパルス療法を行った.第3病日の血漿交換開始直後に心停止となり,心肺蘇生を行うも死亡した.剖検では心筋の心外膜側および細小血管内に多発血栓と周囲の出血を認めた.原因不明の急性腎不全や血小板減少の際は常にTTPの可能性を考え,可及的早期に集学的治療を行う必要がある.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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