日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析低血圧症例における前頭葉混合血酸素飽和度の推移
鈴木 尚紀竹田 優希小西 昂弘人見 泰正佐藤 暢西村 眞人
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2022 年 55 巻 5 号 p. 327-333

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抄録

脳血流の指標とされる前頭葉混合血酸素飽和度(FL‒rSO2)を,透析中に測定した血圧低下症例を3例報告する.症例1は76歳男性,オンライン血液透析濾過を施行した患者であり,開始2時間後より2度の急激な血圧低下とともにFL‒rSO2の低下が認められた.症例2は65歳女性,15分毎に50 mLの補液を行う間歇補充型血液透析濾過(少量頻回補液IHDF)を施行した患者であった.透析開始時より血圧とブラッドボリューム(BV)は低値で推移したが,FL‒rSO2は安定して推移した.症例3は68歳女性,少量頻回補液IHDFを施行した患者であり,BV低下はわずかであったが,開始3時間後より血圧低下を認め,FL‒rSO2はIHDFの補液に反応して変化した.脳血流の調節メカニズムは複雑であり,血圧やBVで管理することは難しいが,透析中のFL‒rSO2モニタリングは脳循環管理の指標として有用である可能性がある.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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