2023 年 56 巻 10 号 p. 361-368
【背景・目的】上腕動脈血流量の測定において,血管が蛇行する場合は測定部位により数値が異なることもある.本研究ではエコーの流量測定の正確性および蛇行血管の適正な測定部位を検証した.【方法】動脈ポンプを用いた模擬回路に規定流量(500 mL/minおよび1,000 mL/min)の疑似血液を循環させ,直線血管モデルにて流量を測定し,その正確性を検証した.また,蛇行血管モデルにて流量を複数か所で測定し,測定部位別の正確性を検証した.流量は時間平均血流速度(TAV)および時間平均最高血流速度(TAMV)で算出し,両者を比較した.【結果】エコーの流量はTAMVではなくTAVにて算出すると規定流量と近似した.またTAVにて算出する血流量は,蛇行部の通過直後は過小評価となり,蛇行部から離れると規定流量と近似した.【結語】流量測定はTAMVよりもTAVを用いると正確性が高いことが示された.また,蛇行を伴う場合の血流量測定は,蛇行の通過部より離れた部位が望ましい.