日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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56 巻, 10 号
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原著
  • 山本 裕也, 大川 博永, 西川 博幸, 森尾 誠人, 大川 弘美, 増田 尚毅, 住友 敬子, 赤木 有希, 髙本 かおり, 辻 純子, ...
    原稿種別: 原著
    2023 年 56 巻 10 号 p. 361-368
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/28
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】上腕動脈血流量の測定において,血管が蛇行する場合は測定部位により数値が異なることもある.本研究ではエコーの流量測定の正確性および蛇行血管の適正な測定部位を検証した.【方法】動脈ポンプを用いた模擬回路に規定流量(500 mL/minおよび1,000 mL/min)の疑似血液を循環させ,直線血管モデルにて流量を測定し,その正確性を検証した.また,蛇行血管モデルにて流量を複数か所で測定し,測定部位別の正確性を検証した.流量は時間平均血流速度(TAV)および時間平均最高血流速度(TAMV)で算出し,両者を比較した.【結果】エコーの流量はTAMVではなくTAVにて算出すると規定流量と近似した.またTAVにて算出する血流量は,蛇行部の通過直後は過小評価となり,蛇行部から離れると規定流量と近似した.【結語】流量測定はTAMVよりもTAVを用いると正確性が高いことが示された.また,蛇行を伴う場合の血流量測定は,蛇行の通過部より離れた部位が望ましい.

  • ―都道府県透析導入患者の検討―
    小根森 元
    原稿種別: 原著
    2023 年 56 巻 10 号 p. 369-375
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/28
    ジャーナル フリー

    われわれは本邦における原疾患不明の割合が増加している原因を明らかにするため,標準化透析導入率比(standardized incidence ratio:SIR)を原疾患別・都道府県別に算出して検討した.日本透析医学会WADDAシステムで作成した2019年,2020年の資料より原疾患別・都道府県年齢調整期待導入患者数を計算した.この値を分母に,実際の原疾患別・都道府県導入患者数を都道府県導入患者のSIRで除して補正した値を分子として,原疾患別SIRを算出し分布についての検討を行った.その結果,原疾患不明と腎硬化症のSIRには負の相関が,原疾患不明と糖尿病性腎症,慢性糸球体腎炎にはおのおの負の弱い相関があった(おのおの,p<0.01,p<0.05,p<0.05).原疾患不明の多い都道府県では腎硬化症,慢性糸球体腎炎,糖尿病性腎症が少ない傾向があることを念頭に置いて,透析原疾患の診断を行う必要がある.

症例報告
  • 星 健太, 村上 円人, 小野田 怜依, 熊谷 光祐, 佐藤 由佳, 渡部 統, 中村 彰良, 橋口 明典, 浦井 秀徳
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 56 巻 10 号 p. 377-384
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/28
    ジャーナル フリー

    当院において,コントロール不良の2型糖尿病および間質性肺炎を併存する高齢男性に生じた急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)で腎生検組織所見から感染後糸球体腎炎合併ANCA関連糸球体腎炎と診断した症例を経験した.プレドニゾロン(prednisolone:PSL)およびリツキシマブ(rituximab:RTX)で寛解導入療法を行うも腎機能が改善せず,維持血液透析療法導入となった.その後の寛解維持療法の継続により重篤な感染症を呈することなくステロイドを投与終了し残存腎機能の回復を認め,RTXの寛解維持治療中に透析導入後11か月で透析離脱となった.高齢かつ合併症の多いANCA関連血管炎におけるRPGNにおいても,腎予後良好な徴候がみられた場合には適切な感染症予防を行ったうえでRTX療法を継続することで透析離脱が可能となる場合がある.

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