2023 年 56 巻 10 号 p. 377-384
当院において,コントロール不良の2型糖尿病および間質性肺炎を併存する高齢男性に生じた急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)で腎生検組織所見から感染後糸球体腎炎合併ANCA関連糸球体腎炎と診断した症例を経験した.プレドニゾロン(prednisolone:PSL)およびリツキシマブ(rituximab:RTX)で寛解導入療法を行うも腎機能が改善せず,維持血液透析療法導入となった.その後の寛解維持療法の継続により重篤な感染症を呈することなくステロイドを投与終了し残存腎機能の回復を認め,RTXの寛解維持治療中に透析導入後11か月で透析離脱となった.高齢かつ合併症の多いANCA関連血管炎におけるRPGNにおいても,腎予後良好な徴候がみられた場合には適切な感染症予防を行ったうえでRTX療法を継続することで透析離脱が可能となる場合がある.