日本透析医学会雑誌
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原著
股関節屈曲を伴うリハビリテーションが経大腿静脈アプローチによるCHDF脱返血に影響するかの検討
瀧本 さち開 正宏都築 通孝西川 大樹日野 佐智子遠藤 信英
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2023 年 56 巻 3 号 p. 85-89

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抄録

集中治療後症候群の予防には早期リハビリテーションが有用だが,大腿静脈への非カフ型(NC)カテーテルにより持続的血液濾過透析(CHDF)を行う患者では安全上の観点から制約が伴う.今回,CHDF患者に対する関節可動域運動(ROMex)が脱返血に及ぼす影響を検討した.2020年4月から12月の間で大腿静脈にNCカテーテルを挿入し,CHDFを施行した5名の患者を対象とした.段階的な角度で屈曲を行った後,下肢屈伸運動を10回行い,脱血圧・静脈圧と脱血不良警報作動の有無,カテーテル挿入部の出血有無を確認した.5症例に対し合計10回のROMexを実施した結果,脱血圧・静脈圧は有意な変動なく推移し,脱血不良警報の鳴動は1回であった.ROMex実施は,大腿静脈に非カフ型カテーテルを留置した患者に対してのCHDF治療に影響を及ぼさないことが示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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