2021 年 7 巻 1 号 p. 59-65
本研究は,股関節機能と投球動作中の下肢キネマティクスに着目し,肘内側障害に影響を及ぼす因子を前向きに検討した.学童期野球投手61名の投球動作を三次元動作計測システムと床反力計を用いて計測した.その後1年間,肘内側障害発生を調査し,各パラメータを発生群と非発生群で比較分析した.次に動作中のキネマティクスが障害を予測できるかロジスティック回帰分析を用いて検討した.障害発生率は29.5%で,ロジスティック回帰分析の結果よりFC時の軸足膝関節内外反が障害発生を有意に予測できる(OR=0.901,CI: 0.816 - 0.995,p=0.039)とされた.以上より学童期の肘内側障害予防においては軸足機能の評価・介入が重要である可能性が示唆された.