日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
総説
腹膜透析患者の体液過剰
―治療関連の病態を踏まえた今後の対策について―
中山 昌明
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 56 巻 4 号 p. 129-136

詳細
抄録

腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)は循環動態に優しい在宅の腎代替療法として普及が期待されている.しかし,PD患者の体液管理は半数以上で過剰状態にあり,これが治療継続や患者予後に重篤な影響を与えている.透析患者が体液過剰となる主因は食塩の過剰摂取であるが,PDの場合,PD治療に特有な要因の関与も考慮する必要がある.PD透析液自体に関連するものとして,透析液による浸透圧物質の負荷(グルコース,イコデキストリン代謝物),そして腹膜ナトリウム(Na)篩効果による低張性除水(PD限外濾液Na濃度<血清Na濃度)は,ともに血漿浸透圧の上昇を惹起し,それにより,結果的に体液量は増加する方向に傾く.この方策として,代謝物の蓄積を低減するイコデキストリン液の使用方法,等張性除水が可能な透析液Na濃度の調整(低Na透析液)などを検討する必要があるだろう.これらの治療開発はPD治療の質向上に大きく寄与すると期待される.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
次の記事
feedback
Top