日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析用シャント肢と同側の鎖骨下動脈アプローチを用いた経カテーテル的大動脈弁植込術の4例
片桐 勇貴竹之内 豪山﨑 和正畑中 憲行古賀 智典上田 高士三澤 学吉田 祐一山崎 誠治
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2023 年 56 巻 6 号 p. 233-242

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抄録

大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁植込術(TAVI)を透析用シャント肢と同側の鎖骨下動脈アプローチを用いて行った4例を報告する.症例は70~79歳,左上肢に透析用シャントが作成されていた.いずれも大動脈弁置換術は髙リスク(STSスコア6.292~12.624)と考えられ,TAVIを行うこととなった.腸骨動脈の狭窄・石灰化もしくは総大腿動脈の高度石灰化のため,左鎖骨下動脈アプローチを選択した.術前大動脈弁圧較差は30.2~44.2mmHgであったが,術後3.0~5.8mmHgへと減少した.いずれの症例でも術後透析は問題なく行うことができ,シャント不全は認めなかった.透析患者では末梢血管疾患の合併が多く,大腿動脈アプローチが困難であることが少なくない.しかし,透析用シャント肢と同側の鎖骨下動脈アプローチの安全性について十分なデータは存在しない.自験例では術後透析経過に問題なく,TAVI時のアプローチサイトとして安全に使用できる可能性が示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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