2024 年 57 巻 1 号 p. 5-14
エテルカルセチドからウパシカルセトへウォッシュアウト期間を設けずに一斉に切り替え,臨床検査値,併用薬に対する影響を検討した.エテルカルセチドからウパシカルセトへ切り替えた当院の血液透析患者23例を対象とし,52週間後まで観察した.切り替え後2週目でwhole PTH値は低下傾向を認め,その後8週目までは上昇傾向となり,10週目から51週目にかけて低下傾向を認めた.切り替え後1週目に補正Ca値は一過性の低下を認めたものの,速やかに切り替え前値に回復した.その後も,補正Ca値は大きな変動なく推移した.また,観察期間中に投与中止に至るような重篤な低Ca血症などの症例は認められなかった.また,併用するビタミンD製剤およびリン吸着薬投与量に有意な変動を認めなかった.これらのことから,ウパシカルセトは過度なCa値の低下が起きにくい有用なカルシミメティクスであることが示唆された.