日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者の下肢CT石灰化スコアと生命予後との関連性
渡邉 幸康渡邉 嘉一岸部 伊吹規斉藤 浩次新井 綾夏切通 慎太郎道園 ルリ子栗原 研二
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2024 年 57 巻 2 号 p. 79-91

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抄録

透析患者で,下肢CT石灰化スコアという新指標を導入した.両側総腸骨動脈,外腸骨動脈,浅大腿動脈,膝窩動脈,後脛骨動脈の総和(L)を測り,同部位両下肢石灰化領域の総和(C)を計測し,C÷L×100(%)を下肢CT石灰化スコアと定義した.PAD(末梢動脈疾患)有群はHDLコレステロールが低く,血糖値が高く,ABI・SPP(足底)・PVR(足首)・PVR(足底)が低く,下肢CT石灰化スコアは高かった.下肢CT石灰化スコアは年齢,透析歴,脈圧,冠動脈カルシウムスコア,頸動脈プラークスコア,baPWVと正相関し,HDLコレステロール,ABI,PVRと負の相関を認め,重回帰分析では冠動脈カルシウムスコア,頸動脈プラークスコア,ABIが有意な独立変数であり,下肢CT石灰化スコア60%以上群は60%未満群に比べて生存率が低く,総死亡Cox比例ハザード分析で,下肢CT石灰化スコアが有意として認められ,下肢CT石灰化スコアは下肢動脈石灰化進展と生命予後を予測する上で有用な指標である.

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