日本透析医学会雑誌
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症例報告
エコーガイド下内頸静脈直接穿刺法により維持血液透析を施行している回腸瘻造設術後患者の1例
大寺 紗夜牧田 実川村 拓朗古川 將太島本 真実子
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2024 年 57 巻 7 号 p. 303-309

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抄録

58歳女性.35歳で腎ドナーとして右腎を摘出した.その後,婦人科疾患術後の癒着性イレウスのため,回腸瘻およびS状結腸瘻を造設された.回腸瘻の排液が過剰なため,容易に脱水症となり入退院を繰り返した.頻回の点滴治療で四肢の末梢静脈が荒廃し,中心静脈カテーテルや皮下植込み型中心静脈ポートを留置するも,カテーテル感染を度々起こした.脱水による急性腎不全を繰り返し末期腎不全に至った.X年,自己血管での血液透析を希望され,エコーガイド下内頸静脈直接穿刺法による単針透析で治療を開始した.透析効率を向上させるため動脈表在化を作製し,上腕動脈から脱血を行い,内頸静脈へ返血し透析を継続している.本症例はバスキュラーアクセスの選択に苦慮した維持透析患者であるが,内頸静脈直接穿刺法はエコーを使用し安全に実施可能であり,末梢血管が荒廃したりカテーテル感染が懸念されたりする症例では,有用な方法である.

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© 一般社団法人 日本透析医学会
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