2025 年 58 巻 1 号 p. 24-30
症例は44歳,男性.38歳で血液維持透析を開始.入院4か月前に発症した急性骨髄性白血病に対して3回目の地固め療法目的で入院中であった.入院第12病日より発熱と全身倦怠感を認め,発熱性好中球減少症の診断で抗菌薬投与を行った.抗菌薬を変更し免疫グロブリン静注療法を追加したが,症状の改善はなく,全身性の紅斑,水庖および口腔内びらんを認めた.皮膚生検での全層性の表皮壊死像と臨床経過を併せて中毒性表皮壊死(toxic epidermal necrolysis: TEN)と診断した.ステロイドパルス療法と,単純血漿交換療法(plasma exchange: PE)を合計3回施行し,第85病日に退院した.TENの予後は悪く,透析患者における死亡率は,非透析患者の10倍以上に増加すると報告がある.TENに対して集学的治療を行い,救命し得た症例を経験したので報告する.