日本透析医学会雑誌
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透析看護
院内および透析室内の蔓延を防ぎえたトコジラミ刺症の維持血液透析患者1症例の経験
網代 絵里神田 怜生安藤 敦子斎藤 あゆ美増田 謙太郎久寶 彩乃瓜田 温子柳川 宏之関内 真紀穂富野 康日己
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キーワード: トコジラミ, 血液透析
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2025 年 58 巻 3 号 p. 139-145

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抄録

腎硬化症による末期腎不全で7年間維持血液透析を施行している独居・生活保護の70歳代男性.もともと透析搔痒症の診断を受けていた.X年Y月Z日に透析ベッドのシーツ上に虫体を発見し,トコジラミが疑われた.同日より,使用する透析ベッドを固定,接触感染予防策を開始した.Z+10日に皮膚科でトコジラミ刺症と診断されたことから,時間的隔離で透析を施行した.Z+36日に男性ロッカーでトコジラミを発見したため,伝播を回避するため個室透析とし,感染対策を強化した.自宅環境の改善のため,福祉担当者と駆除業者が自宅を訪問し,トコジラミ駆除のために転居が必要と判断し,施設入所する方針となった.行政と連携し,Z+120日に当院に入院,トコジラミを完全に駆除し,Z+143日に施設に入所となった.繁殖力の高いトコジラミへの対応は困難であったが,個室隔離や対応マニュアル作成,行政と連携することで感染拡大を防止することができた.

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© 一般社団法人 日本透析医学会
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