2025 年 58 巻 6 号 p. 302-309
維持透析患者の中毒性表皮壊死症(TEN)に対する単純血漿交換(PE)の有効性は不明であり,自験3例を検証した.症例1は74歳女性(原疾患:不明,透析歴約2年).腎癌を伴う腎周囲膿瘍に対しメロペネム投与後23日目に重症度分類6点のTENで入院.ステロイド静注(IVMP)と免疫グロブリン静注(IVIG)療法後にPEを5回施行するも,菌血症で死亡した.症例2は79歳女性(原疾患:不明,透析歴約7年).発熱に対してアモキシリン投与後2日目に重症度分類4点のTENで入院.IVMPとIVIG後にPEを3回施行して軽快した.症例3は74歳女性(原疾患:囊胞腎,透析歴約1年).下腿潰瘍に対してホスホマイシン投与後4日目に重症度分類4点のTENで入院.IVMP後にPEを4回施行して軽快した.以上から,透析患者のTENは重症例が多く,強力な免疫抑制療法にPEを加えた集学的治療が必要と考えられた.