日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
原著
血液透析患者の高血圧症に対するサクビトリル/バルサルタン(ARNI)投与後の血圧,脈拍数および心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)変動に関する検討
大山 恭夫甘利 佳史奥田 英伸中嶋 章貴万木 孝富森 泰清森本 聡
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 58 巻 9 号 p. 428-435

詳細
抄録

【目的】通常の降圧治療抵抗性のHD 患者に対しサクビトリル/バルサルタン(ARNI)を開始,血圧,脈拍数,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の変動につき検討.【対象と方法】HD患者48例,平均72.5歳,男/女=26/22例.ARNI投与前,後1,2,3,6,9,12,15,18か月までの期間,血圧,脈拍数,ANP 値を測定.【結果】ANP値(pg/mL)は,ARNI投与1か月後までに有意な上昇を認めた(p <0.0001).SBP(mmHg)は,ARNI投与1か月後までに有意な低下を認め,さらに1か月後から3か月後にも有意な低下を認めた(p <0.0001).DBP(mmHg)は,ARNI投与1か月後までに有意な低下を認め(p <0.0001),その後は維持された.脈拍数は有意な変動は認めなかった.【総括】通常の降圧治療抵抗性のHD患者に対してARNI投与により降圧効果とANP値の上昇を認めた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top